概 要

プログラム概要

インフラの高齢化が進む我が国では、2012年の笹子トンネル事故のような重大な事故リスクの顕在化や、維持修繕費の増大が懸念されています。厳しい財政状況が続き、熟練技術者の減少が進むなか、予防保全による事故の未然防止とインフラのライフサイクルコストの最小化を実現するには、新技術を活用しシステム化されたインフラマネジメントが必須です。特に、世界最先端のICRT*を活用した技術は、従来のインフラ維持管理市場に新たなビジネスチャンスを生み出すとともに、同様の課題に向き合うアジア諸国へのビジネス展開の可能性につながると期待されます。これらの実現のために、インフラの維持管理に関わるニーズと技術開発のシーズとのマッチングを重視し、現場で使える新しい技術をさらに使いたくなる形へと展開させ、予防保全による維持管理水準の向上を低コストで実現していきます。これにより、国内重要インフラを高い維持管理水準に保ち、地域におけるさまざまな経済活動を下支えするだけでなく、地域の活性化に貢献することを目標としていきます。さらに、地域での成功例をもとに、魅力ある継続的な維持管理市場を創造し、海外展開の礎を築くことも視野に入れています。

*ICRT: ICT(Information and Communication Technology)+IRT(Information and Robot Technology)

研究開発の内容及び目標

【1】橋梁のアセットマネジメント

(a)橋梁点検の要素技術

  1. 近接目視
  2. 打音検査
  3. たわみ 変位計算
  4. 振動計測
  5. PC桁の現有応力測定法:「応力解放法を用いたPC桁の現有応力測定法」
  6. 鋼橋の劣化診断技術:「熱源を利用した鋼材疲労き裂検知法の開発」

(b)維持管理システム

  1. 3D外観劣化情報取得
  2. リアルタイムセンシング・遠隔モニタリング

(c)コンクリート構造物の維持管理技術・劣化環境定量的評価

  1. コンクリート構造物の劣化診断技術
  2. 環境作用強度に基づくコンクリート橋の維持管理優先度決定システム

【2】トンネル・道路斜面アセットマネジメント

(a)覆コンクリート健全度評価手法
(b)斜面地安定性評価のための屋外モニタリング

【3】道路舗装のアセットマネジメント

 ICT等を用いた新しい道路舗装維持管理システム

【4】道路全体のアセットマネジメント

(a)実装するための戦略的マネジメント
(b)橋梁の耐震設計

【5】SIP研究開発成果等の実施体制の構築

(a)全体のマネジメント
(b)県別実装支援体制の構築

《研究開発成果の試行・事後評価、NETISの活用、長崎県内版の作成》

[ 目 的 ]
実装に向けて研究開発成果の従来技術との比較、技術の成立性・適用範囲の明確化、試行結果の事後評価による技術の改善、標準化、実装への仕組みづくり

[ 内 容 ]

  1. 研究開発成果の試行、活用効果についての事後評価により技術の改善を図る。
  2. 実証とともにスーパー道守の育成、橋梁点検車の高度利用化、歩掛仕様書等を産学官で役割分担と連携により実現を図る。
  3. 九州地方整備局企画部施工企画課・同九州技術事務所との技術相談の支援を適宜得て、研究開発についてアドバイスを得る。さらに、NETISへの登録を目指す。維持管理技術にについてNETISの地方自治体版の作成の検討をする。

[ 実施体制 ]

  1. 実装のための「道路全体のアセットマネジメントの調査研究」を実施
  2. 道守養成のための産学官の実績がある道守運営協議会に「SIP技術委員会」の設置
  3. 九州・山口各県の道路管理者と連携し、使ってみたいSIP技術を選定、選定したSIP開発技術等の説明会・現場実証試験を実施し評価
  4. 橋梁、トンネル、斜面等、専門的知識を有する研究メンバーとKABSE分科会との連携により技術を評価